家庭用のレーザー加工機は、ハンドメイド作品やDIY、試作品作りなど、個人でのモノづくりの幅を大きく広げてくれる頼もしいアイテムです。とはいえ、「種類が多すぎて、どれを選べばいいのか分からない……」という方も多いのではないでしょうか?
この記事では、初心者から中級者までに向けて、2025年最新の情報をもとに、家庭用レーザーカッターの選び方で重要なポイントを丁寧に解説します。
「レーザー加工機」「レーザー彫刻機」「レーザーカッター」 という名称は、使い方や目的に応じて呼び分けられているケースや、販売サイトやメーカーにより呼び方が違うだけのケースも多いので、同じ機械ものだと認識していただいてOKです。
『趣味』か『稼ぐ』か、まずは目的をはっきりさせよう
レーザー加工機を選ぶ前に、まず考えておきたいのが「どう使いたいのか?」という目的です。
大きく分けると、以下の2つに分類できます。
趣味で楽しむための機種
自分用の作品づくりやプレゼント制作、ものづくりの体験を楽しむのが目的であれば、比較的コンパクトで扱いやすく、価格も抑えられたモデルがおすすめです。
収益化を目指す“稼ぐ”ための機種
ハンドメイド作品の販売やオーダー制作など、ビジネス活用を見据えるなら、機能面でのパフォーマンスが重要になります。初期費用はやや高めでも、長期的に見ると収益に繋がる“投資型”の選び方です。
- 加工スピード
効率的に制作を進めたい場合、加工スピードの速さは非常に重要なポイントです。特に量産や納期のある制作では、作業時間の短縮がそのまま生産性アップにつながります。 - 加工サイズ
パーツを一つずつ加工するたびに素材をセットしたり、位置を調整したりするのは大変非効率です。大きめの加工エリアに対応した機種であれば、1回の加工で複数のパーツを同時に仕上げることができ、作業効率が大幅に向上します。
また、加工対象物の”高さ”に制限がある機種にも注意が必要です。 - 対応素材の広さ
レーザーの出力や種類によっては、加工できない素材もあります。「どの素材を使いたいか」を明確にし、それに対応したレーザーのタイプや出力を持つ機種を選ぶことが大切です。
自分が「何をしたいのか」を最初に明確にしておくことで、失敗しない機種選びにグッと近づきますよ。
レーザーの種類を知る
まず確認したいのが、搭載されているレーザーの種類です。
家庭用レーザーカッターには主に「CO2レーザー」と「ダイオードレーザー」の2種類があり、それぞれに特徴があります。
以下で詳しく見ていきましょう。
半導体レーザー(ダイオードレーザー)
木材、革、紙、有色アクリルなどの彫刻やカットに対応し、家庭用レーザーカッターでは最も一般的なタイプです。価格が手頃で本体もコンパクトなため、初心者にも人気があります。
従来は5〜20Wのモデルが主流でしたが、近年では世界初の最大40Wモデルも国内で販売されており、CO2レーザーに近い性能を持つ機種も登場しています。
ただし、可視光を利用する仕組みのため、透明アクリルには直接加工できません。彫刻のみであれば、加工用スプレーなどで表面を黒く塗装することで対応可能な場合もあります。
幅広い素材に対応したい場合は、CO2レーザーとの使い分けを検討すると良いでしょう。
また、比較的安価なモデルには、囲いのないオープンタイプが多く、安全面には十分な注意が必要です。
特に室内で使用する場合は、想像以上に強いにおいが発生するため、本体だけでなく排煙設備の導入も予算に含めておくことをおすすめします。
CO2レーザー
アクリル(透明も含む)、ガラス、木材、革、紙などの非金属素材の加工に対応し、家庭用では20〜60Wの比較的高出力モデルが主流です。
彫刻はもちろん、切断加工も可能ですが、家庭用では素材によっては切断できないもの(ガラス等)もあります。
XY方式の加工機で比較すると、ダイオードレーザーに比べて動作スピードが速いのも特徴です。
金属にはレーザーがうまく吸収されないため、出力が高くても加工は困難です。
※金属加工にはファイバーレーザーが適しています
また、レーザー管や冷却装置、排煙機、エアアシスト、制御基板などの機構が必要なため、これらが本体に内蔵されていたり、外部機器と接続する必要があることから、設置には広めの作業スペースが求められる点にも注意が必要です。
その他:ファイバーレーザー(赤外線レーザー/IRレーザー)
ファイバーレーザーは、金属加工に適した高出力タイプで、主に業務用として金属のカットや彫刻に使われます。
家庭用では出力が抑えられているため、切断には向かず、金属表面への彫刻や熱・酸化によるマーキングが中心です。
用途が限られるため本記事では詳しく扱いませんが、一部の商品紹介では、ダイオードレーザーとのデュアル搭載モデルも取り上げています。
出力(W数)と加工できる素材
出力が高いほど厚い素材の切断が可能になりますが、それに比例して価格も上がります。
- 1W〜5W:彫刻や薄い素材のカット向け
- 5W〜10W以上:MDFや薄い木材、アクリルの切断が可能
- 20W〜40W以上:木材やアクリル5~15mm程度までワンパスで切断可能
※ただし、前項で述べた通り、半導体レーザー(ダイオードレーザー)は透明アクリルへの彫刻・切断ができないことにご注意ください。
予算とのバランスを取りつつ、加工対象物の厚みや目的に合った出力を選びましょう。
加工エリア(ワークスペース)
加工エリア:横×縦
作品サイズに応じて必要な加工エリア(作業可能範囲)もチェックしましょう。
- 小型機:80mm四方〜150mm四方
- 中型機:A4サイズ(300mm×210mm)程度
- 大型機:A3〜A2サイズ。作品サイズに柔軟性あり
※あくまでも家庭用としてのサイズ感です
作業スペースをあとから広げるのは難しいため、将来的な制作を考えて、やや広めのサイズを選ぶのがおすすめです。
高さ
加工対象物に高さがある場合、それに対応できるかどうかも機種選びの重要なポイントです。
機種によっては底を外して高さ制限なく使えるものや、オプションにより150mm程度の高さまで対応できるものもあります。
例えば、高さ50mmの升に名入れをするなら、底が外せるタイプや50mm以上の高さに対応する機種が必要になります。
加工スピードと解像度
加工スピード
レーザー加工機の性能を比較する際に、「加工スピード(mm/s)」はとても重要な指標です。
この数値は「1秒間にどれくらいの距離を彫刻・カットできるか」を示しており、特に大量の作品を短時間で仕上げたい場合や、名入れ・ロゴ入れなどのスピードが求められる作業では、スピードの差が作業効率に直結します。
たとえば、200mm/sの機種と4000mm/sの機種では、同じ作業でも所要時間が大きく変わってきます。
商品ページやスペック表にある「最大速度」や「彫刻速度」の数値をチェックし比較する際の参考にしましょう。
また、xtool F1やLaserpeckerシリーズに採用されているガルバノ式レーザーは、高速加工に強く、ボークスタイプで採用されているXY方式よりも高いmm/sを出せる傾向があります。
しかし、ガルバノ式レーザーはワークスペースが小さいことがデメリットになるので、ご自身の制作物を考察し、加工スタイル(1点集中 or 量産)に合わせたスピード選びがポイントです。
解像度
解像度は、主に彫刻時の繊細さ・再現性の高さに関わる重要な項目です。
商品によって「解像度:0.01mm」「精度:0.003mm」などと表記されることがあり、この数値が小さいほど、細かい文字やイラスト、写真彫刻の再現性が高くなります。
たとえば、ハンドメイドアクセサリーに小さな文字を彫刻したい場合や、細密な模様を表現したいときには、高解像度の機種を選ぶことで、仕上がりが格段に美しくなります。
注意点として、「解像度」と「カットの太さ」は別の要素ですので、切断性能と混同せず、彫刻表現に注目して確認するようにしましょう。
安全性と換気システム
家庭で使用するなら、安全性は最優先事項です。レーザーの強力な光は目に危険を及ぼす可能性があります。
また、加工部分は高温度になるため、加工対象が発火することもあります。
下記のような安全対策が施されているか確認しましょう。
- ボックス型加工機:レーザー光線が外に漏れない箱型構造で安心。発火した際にも加工機外への延焼を防ぎやすい。
- ストップボタン:対象物の発火や加工ズレ、脱調などが発生した際、すぐに加工を停止できる緊急停止ボタン。
- エアアシスト:加工をきれいに仕上げるだけでなく、発火の抑制にも効果的。
- 排気ファン・ダクト:加工中に出る煙や粉塵、素材によって発生する有害ガスを効率よく室外へ排出。
- 換気の良い設置場所:窓際など排気しやすい場所に設置することも重要。
カバーのないオープンモデルを使う場合は、レーザー防護ゴーグルの使用を強く推奨します。また、周囲の環境などにも十分に注意する必要があります。
レーザー加工機のクラス(安全区分)について
レーザー加工機は、国際規格「IEC 60825-1」および国内規格「JIS C 6802」に基づいて、安全性に応じた**クラス分け(Class1〜Class4)**がされています。
このクラスは「レーザー光が人体に与える危険性」によって決まり、安全対策の基準にもなります。たとえば、保護メガネの着用や、筐体での囲い込みなどが義務づけられる場合もあります。
レーザー機器は安全性に応じてクラス分類されており、Class 1は最も安全なレベルで、レーザー光が外部に漏れない構造になっています。
一方で、最も危険なClass 4に分類される機器は、レーザーが外部に漏れる可能性があるものです。たとえば、カバーのないオープンタイプのレーザー加工機や、一見安全に見えるボックスタイプの装置でも、パススルー機構(加工物を外に貫通させる構造)がある場合はClass 4に該当します。
ただし、Class 1に分類されている機器であっても完全に安全とは限りません。加工対象物によっては発火し、火災につながる可能性があります。また、安全装置が作動してからレーザーの出力が完全に停止するまでに、わずかなタイムラグが生じる場合もあります。
そのため、万が一の事態を想定し、常時の監視や厳重な管理を怠らないことが重要です。重要です。
安全な運用のためには、こうしたクラスの違いを理解し、適切な対策をとることが大切です。
クラス分けを確認したい方は → コチラ(他社参考サイト) をご確認ください
ソフトウェアと操作性
本体の性能はもちろんですが、制御ソフトの使いやすさも選定の重要なポイントです。
- 対応OS:WindowsやMac、スマホ・タブレットのアプリに対応しているか
- 連携ソフト:IllustratorやInkscapeなどの外部ソフトとの互換性があるか
- 日本語対応:取扱説明書やソフトのUIが日本語に対応しているか
- 焦点自動調整:対象物との距離を自動で調整できるオートフォーカス機能の有無
- 曲面加工:お皿のようなカーブのある素材にも自動で焦点を合わせながら加工できるか
画像取り込みや写真の彫刻、ハンコ向けの台形加工ができるなど、機能によってできる表現の幅も変わってきます。
また、加工スピードも機種により重要です。
アフターサポートと保証
家庭用モデルでは、サポート体制の有無も大きな安心材料です。
- 日本国内メーカー:パーツの取り寄せ、配送修理受付、出張サポートなど、様々な面で安心
- 海外メーカの日本国内代理店:サポートには制限がある場合もあるが、万一のトラブルにも迅速対応
- パーツの入手性:レーザーチューブやレンズなどの消耗品が手に入るか、アリエクスプレスなどで入手可能な純正品以外でも使用可能か
- 保証期間:製品保証の有無の確認
安価な海外製モデルほどサポートが無いorごく限定的な場合が多いので、購入前に必ず確認しておきましょう。
価格帯の目安
予算に応じて、選べる機種の特徴も変わります。
コストパフォーマンスと目的のバランスが鍵になります。
- 〜5万円未満
1W〜5Wのダイオードレーザーが中心。 - オープンタイプが多く、軽い彫刻向け。カットは苦手だが入門用に人気。
- 5〜15万円
5W〜10Wの中出力モデルが増え、ボックス型やガルバノ式も選べる。彫刻に加え、薄い素材のカットも可能で、家庭用として扱いやすい。 - 20〜30万円台
20W〜40Wの高出力ダイオードレーザーモデルもセタン選択可能。
スピード・加工性能ともに向上。ダイオードレーザーとファイバーレーザーを搭載したガルバノ式デュアルレーザー機(例:xTool F1やLaserPecker 4)を選択すると、金属彫刻にも対応可能に。 - 30〜40万円台
30万円以上で、しっかりと国内に代理店がつくCO2レーザーブランド機種が選べる価格帯。
透明アクリルや厚い木材の加工が可能で、A4サイズ程度の本格作業に対応。
本体サイズもA4〜A3対応サイズとなり、本格的なクラフトやビジネス用途にも対応できます。 - 40万円以上
A3サイズ以上にも対応し、一部業務用に近い機構やスペックを搭載したのCO2レーザー機が選択できるようになります。
加工スピードや構造の安定性も大幅にアップします。
本格的なものづくり、販売目的での大量生産、大型素材の加工など、プロユースに対応します。
メンテナンス性と消耗部品の交換
レーザー加工機は定期的なメンテナンスが必要です。
- レーザーチューブの寿命:CO2レーザーは消耗品で交換が必要
- 交換パーツの入手性と価格:事前に調査を
- ユーザー自身での交換が可能か:交換が簡単な設計かも要チェック
長期的に使うなら、メンテナンスのしやすさも機種選びの重要な基準になります。
実際の使用事例・口コミを参考にする
購入前には、実際に使用している人の声や作例をチェックするのが非常に有効です。
- メーカー公式サイトやSNS:作例や活用方法をチェック
- YouTube動画:実際の加工シーンが分かりやすい
- レビューサイトやブログ:良い点だけでなくトラブル例も参考に
自分に近い用途の事例を見つけることで、よりリアルな使い心地をイメージできます。
まとめ:あなたに合った1台を見つけよう
家庭用レーザーカッターは、選び方次第で創作の可能性を大きく広げてくれます。
- 「どんな素材を加工したいか」
- 「どんな大きさの作品を作りたいか」
- 「自分のレベルやメンテナンスの負担に合っているか」
これらをじっくりと検討し、安全性・操作性・サポート体制なども含めて総合的に選びましょう。
長く使える相棒として、満足度の高い1台に出会えますように!
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