世界中のトップブランドが注目するパイナップル製の革
『Piñatex – ピニャテックス』のサンプルを取り寄せてみました。

『ピニャテックスがどんな物か』という情報はありますが、
実際どのように購入すればいいのかが
書いていないサイトばかりだったので、
今回は、実際に私が直接ピニャテックスのサイトから
サンプルを購入した流れをまとめました。

元革細工職人の私が実際に目で見て触った感想、
本革との比較なども交えてお伝えしていきます。

そもそもヴィーガンレザーってなに?

ヴィーガンレザーの説明で使用される牛
みなさんは『ヴィーガンレザー』という素材を知っていますか?
vegan – ヴィーガン(またはビーガン)』というワードは、
世界的に増加傾向にある『絶対菜食主義者』や『完全ベジタリアン』
などと呼ばれる人々を表す言葉として、
1940年代にイギリスで誕生しました。

彼らは、動物の肉だけでなく、卵や乳製品、
出汁に至るまで、徹底して動物性の物を(もちろん魚も)排除する
食生活を送っています。

彼らは「人間は動物を搾取することなく生きるべき」という
ヴィーガニズム』という概念を持っています。

そして、ヴィーガンという言葉から派生した素材
『ヴィーガンレザー』は、動物の皮革を使用しない
革の代替素材
のことを差します。

日本では一般的に『人工皮革』と
呼ばれている部類に当たるでしょうか。

本革を鞣す際に使用・排出される化学薬品による
環境破壊や人体への影響などが世界中で
社会問題になっている事を背景に、
ヴィーガンである人々だけでなく、エコとしても
注目されている素材なのです。

廃棄されるパイナップルの葉で作る革『ピニャテックス』

Piñatexウェブサイトより(https://www.ananas-anam.com/

ピニャテックスは、皮革産業に精通していたスペイン人、
カルメン・ヒホサ(Carmen Hijosa)の
7年もの研究の成果として作られました。

サステナブル(持続可能)な素材として、
本来ゴミとして捨てられていたパイナップルの葉を
加工した素材はまるで本革のシュリンクレザーのような見た目です。

カルメン・ヒホサが共同創業者として立ち上げた
イギリスロンドンの『Ananas Anam』という会社が製造し、
唯一の販売窓口としてピニャテックスを購入することができます。
Ananas Anamのウェブサイトはこちら

サイト内にショッピングカートなどの買い物機能はなく
問い合わせから購入手続きを行わなければなりません。

まずはスウォッチカードというサンプルカタログを取り寄せ、
質感や硬さ、色味などを確認することをオススメします。
私もこのスウォッチカードを取り寄せてみました。

ピニャテックスの種類

PIÑATEX® ORIGINAL

ピニャテックスのベーシックラインといったところでしょうか?

色:8色
組成:パイナップル80%、繊維20%
幅:1.55m
厚み:1.5~2mm

値段(1m × 1.55m):
PLUMA €45
その他 €50

ピニャテックス ORO


ゴールドとシルバーの2色で素材感も2パターン

色:金銀ではあるが、それぞれ色味が違うので実質4色
組成:パイナップル80%、繊維20%
幅:1.55m
厚み:1.5~2mm

値段(1m × 1.55m):
その他 €58

サンプル取り寄せ方法

SWATCH CARD -スウォッチカードと呼ばれる
サンプルカタログを購入するには、
まずこちらのページから、スウォッチカードの購入数を選択し、
【GO TO CHECKOUT】をクリックします。

次のページで氏名や送付先を英語で入力します。
送付先住所は日本の住所入力順序と逆に、
番地→地名→市区町村→都道府県の順で入力します。
記入の仕方がわからない方は、
住所変換サイトを利用して、入力を進めていきましょう。
参考:http://judress.tsukuenoue.com/

ちなみに€25なので3000円ちょっとです。
(1ユーロ=121円:6/3日現在)

ロンドンからだと送料が高そうですが
シッピングフリー(無料)で届けていただけました。
クレジットカード決済のみが利用でき
VISA、AMEX、MASTERが決済可能です。

必要事項を入力し、
PLACE ORDER】をクリックし発注完了です。

実際どうなの?ピニャテックスの現物を革と比較してみた

スウォッチカードはどんなもの?

大きさはA5サイズでした。
見開き1ページです。

私が頼んだのは2019年2月ごろだったのですが、
ORIGINALシリーズは4色しかありませんでした。

ウェブサイトには

  • PEBBLE(カーキ系?グレー系?)
  • INDIGO(ブルー系)
  • CANELA(赤茶系)
  • PLUMA(ブラック&厚みが薄い)

が表示されているので、取り扱う色が増えたのかもしれません。
最近サンプルを頼んだ方がいたら情報ください。

下の説明を読むと、ピニャテックスは水洗いができるようです。

裏表紙にはピニャテックスの製品紹介や
仕様、会社情報などが記載

本革との違いは?


見た目は、大きくランダムなシボ(シワ)が特徴の
『アラバスタシュリンク』に似ていると思いました。

通常、細かいシュリンクは型押しが多いですが、
ドラムで回してシボをつけるような、
ランダムでナチュラルなシボです。

触った感覚は・・・牛革とは言えません。
オイル感=しっとり感がありません。
手触りが紙っぽい。
実際にとても軽い素材ですが、
触り心地もいい意味でも悪い意味でも軽い

繊維質は、もっと『荒い、太い』のかと思っていましたが、
思ったより細かい繊維質で引っ張りに強そうです。

床(裏)面は、本革を再現したのか繊維がボソボソと
毛羽立った状態です。

本革の場合、トコノールやトコフィニッシュなどを
塗って磨いて毛羽立ちを抑える事が多いので、
個人的には毛羽立ちを抑える処理をして欲しかったです。
でも、ナチュラルでクラフト感がある印象を
持たせた商品づくりにはいいかもしれません。

金銀の【ORO】シリーズの上部、
『Flat Gold』と『Flat Silver』は
他と比べて固いというかコシが強め。

気づいた点があればまた追記します。

ピニャテックスはあり?なし? → 個人的には『全然あり』

『革素材』に強烈なこだわりが無いのであれば、
素材の選択肢として全然ありです。

正直、『革の代わりになるか?』と言われると疑問だが、
他にはない手触りや雰囲気を楽しめるし、加工もしやすそう◎。

また、革(一部を除く)にはできない
水洗いができる点も評価できます。

ピニャテックス以外にも、
Grado Zero Espace社のキノコを培養して作るMuSkin
Frumat社の産業廃棄物であるリンゴを加工して作るApple Leather
など、様々なヴィーガンレザーが作られています。

ツクリテラボでは、今後もピニャテックスや
他のヴィーガンレザーの動向を、引き続き調査していきます。